1年としが改あらたまり、王おうたちが出しゅつ陣じんする時じ期きになった。ダビデは、ヨアブと自じ分ぶんの家け来らいたちとイスラエル全ぜん軍ぐんを送おくった。彼かれらはアンモン人じんを打うち負まかし、ラバを包ほう囲いした。しかし、ダビデはエルサレムにとどまっていた。

3ダビデは人ひとを送おくってその女おんなについて調しらべさせたところ、「あれはヒッタイト人じんウリヤの妻つまで、エリアムの娘むすめバテ・シェバです」との報ほう告こくを受うけた。

4ダビデは使つかいの者ものを送おくって、その女おんなを召めし入いれた。彼かの女じょが彼かれのところに来きたので、彼かれは彼かの女じょと寝ねた──彼かの女じょは月つきのものの汚けがれから身みを聖せい別べつしていた──それから彼かの女じょは自じ分ぶんの家いえに帰かえった。

5女おんなは身みごもった。それで彼かの女じょはダビデに人ひとを送おくって告つげた。「私は子こを宿やどしました。」

7ウリヤがやって来くると、ダビデは、ヨアブは無ぶ事じでいるか、また兵へいたちは無ぶ事じか、さらに戦たたかいはうまくいっているかと尋たずねた。

8ダビデはウリヤに言いった。「家いえに帰かえって、足あしを洗あらいなさい。」ウリヤが王おう宮きゅうから出でて行いくと、王おうからの贈おくり物ものが彼かれの後あとに続つづいた。

9しかしウリヤは、王おう宮きゅうの門もんのあたりで、自じ分ぶんの主しゅ君くんの家け来らいたちみなと一いっ緒しょに眠ねむり、自じ分ぶんの家いえに帰かえらなかった。

10ダビデに「ウリヤは自じ分ぶんの家いえに帰かえらなかった」という知しらせがあった。ダビデはウリヤに言いった。「あなたは遠えん征せいして来きたのではないか。なぜ、自じ分ぶんの家いえに帰かえらなかったのか。」

11ウリヤはダビデに言いった。「神かみの箱はこも、イスラエルも、ユダも仮かり庵いおに住すみ、私の主しゅ人じんヨアブも、私の主しゅ人じんの家け来らいたちも戦せん場じょうで野や営えいしています。それなのに、私が家いえに帰かえり、食たべたり飲のんだりして、妻つまと寝ねるということができるでしょうか。あなたの前まえに、あなたのたましいの前まえに誓ちかいます。私は決けっしてそのようなことをいたしません。」

12ダビデはウリヤに言いった。「今日きょうもここにとどまるがよい。明あ日すになったら、あなたを送おくり出だそう。」ウリヤはその日ひと翌よく日じつ、エルサレムにとどまることになった。

13ダビデは彼かれを招まねいた。彼かれはダビデの前まえで食たべて飲のんだ。ダビデは彼かれを酔よわせた。夕ゆう方がた、ウリヤは出でて行いって、自じ分ぶんの主しゅ君くんの家け来らいたちと一いっ緒しょに自じ分ぶんの寝ね床どこで寝ねた。しかし、自じ分ぶんの家いえには下くだって行いかなかった。

14朝あさになって、ダビデはヨアブに手て紙がみを書かき、それをウリヤに託たくして送おくった。

15彼かれは、その手て紙がみに次つぎのように書かいた。「ウリヤを激げき戦せんの真まっ正しょう面めんに出だし、彼かれを残のこしてあなたがたは退しりぞき、彼かれが討うたれて死しぬようにせよ。」

17その町まちの者ものが出でて来きてヨアブと戦たたかった。兵へいのうちダビデの家け来らいたちが倒たおれ、ヒッタイト人じんウリヤも死しんだ。

18ヨアブは人ひとを遣つかわして、戦たたかいの一いち部ぶ始し終じゅうをダビデに報ほう告こくした。

19そのとき、ヨアブは使し者しゃに命めいじて言いった。「戦たたかいの一いち部ぶ始し終じゅうを王おうに報ほう告こくし終おえたとき、

20もし王おうが憤いきどおって、おまえに、『どうして、おまえたちはそんなに町まちに近ちかづいて戦たたかったのか。城じょう壁へきの上うえから彼かれらが射いかけてくるのを知しらなかったのか。

21エルベシェテの子こアビメレクを打うち殺ころしたのは、だれであったか。一人ひとりの女おんなが城じょう壁へきの上うえからひき臼うすの上うわ石いしを投なげつけて、テベツで彼かれを殺ころしたのではなかったか。どうして、そんなに城じょう壁へきに近ちかづいたのか』と言いわれたら、『あなたの家け来らい、ヒッタイト人じんウリヤも死しにました』と言いいなさい。」

23使し者しゃはダビデに言いった。「敵てきは私たちより優ゆう勢せいで、私たちに向むかって野のに出でて来きましたが、私たちは門もんの入いり口ぐちまで彼かれらを攻せめて行いきました。

24城じょう壁へきの上うえから射い手てたちがあなたの家け来らいたちに矢やを射いかけ、王おうの家け来らいたちが死しに、あなたの家け来らい、ヒッタイト人じんウリヤも死しにました。」

25ダビデは使し者しゃに言いった。「あなたはヨアブにこう言いいなさい。『このことに心こころを痛いためるな。剣つるぎはこちらの者ものも、あちらの者ものも食くい尽つくすものだ。あなたは町まちをいっそう激はげしく攻こう撃げきし、それを全ぜん滅めつさせよ。』あなたは彼かれを力ちからづけなさい。」

27喪もが明あけると、ダビデは人ひとを遣つかわして、彼かの女じょを自じ分ぶんの家いえに迎むかえ入いれた。彼かの女じょは彼かれの妻つまとなり、彼かれのために息むす子こを産うんだ。しかし、ダビデが行おこなったことは主しゅのみこころを損そこなった。